毎日過酷な寒さが続きますね、住宅の工期ですと短くても4か月ほどなのでこ
の仕事をしていると年4回の季節の変わり目を現場で感じるのが毎度のことと
なっています。寒さが続くなか現場が進んでいると、断熱材が入った時の、劇的
に部屋内の環境がが変わる様は、昔ながらの過酷な温熱熱環のなかで暮ら
した私にとって住まいそのものと建材の進歩を感じずにはいられない瞬間なのです。
省エネ、パッシブなど今や住まいに当たり前に用いられるこのワード、この十数年
前からで急速に使われはじめ、特に東北の震災の後には、住まいとセットで語られ
るようになってきました。
数値化した断熱性能が、どれだけ省エネ効果を産み出し、その省エネがランニング
コストをこれだけ減らすから、イニシシャルをこれだけかけても将来的には性能の劣る
家よりお金がかからない。と、快適さから住まいづくりのファイナンスまで横断的に家造り
にかかわりを持つようになっています。それだけ断熱性能が家の「骨格」をなす部分とな
りつつあるのるのです。
家の断熱性能に大きくかかわる要素はざっくり分けて2つで、当たり前ですが断熱材、
そして断熱材以上に断熱性能に影響する「窓」です。一般的な住宅ですと、夏に窓か
ら入ってくる熱量は家全体の約7割、冬ですと出ていく熱量が5割ほど、これがいわゆる
建築家の注文住宅のようにガラスたくさんの家になるととても「省エネ」とは言い難い家
にできあがるのです。窓からの熱の流入と流出をいかに防ぐかが断熱性能を高める鍵
になります。
現在流通しているサッシは「アルミ」かそれよりも断熱性が高く、結露のしにくい「樹脂」
がほとんど。私たちの仕事でよくある、一品物のサッシを作る場合は、いくら断熱性能
があるサッシを作ろうと、公的機関の実験したものでしか性能が認められません。
その都度お金と時間をかけて実験をするわけにもいかないため、2020年の家の省エネ
性能確保が義務化(法改正)されれば、ほぼサッシメーカーの流通品を使うしかなくな
ってくるのです。
古民家の味わのある雰囲気も改修でアルミサッシが入ったとたんにがっかりするような
建築になってしまうように、開口部の印象は建築の全体に影響を与えます。それだけ
2020年の法改正は住宅省エネ性能の底上改善と意匠の選択肢がより狭くる改悪が同時に
生まれると私は思います。
毎回そうなのですが法あっての建築ゆえにこういった法改正があると甘んじて受けいる
しかないのが悲しいところです。設計事務所として改悪の結果を考えながら、それが糸口
になるような新しい設計とそれを施工をするのが渡したちのの大事な仕事なのです。