あけましておめでとうございます。みなさま今年も
テノアト設計工舎よろしくお願いいいたします。

昨年現場が立て込んでいたいたときに次へとかかってくる電話に対応を
し、住宅現場でぽろぽろと携帯電話を落としていたらあっという間に、いるも
無残な姿に、洗練されて美しいはずのアイフォンが悪い意味でワイルドに・・・
そしてついに真ん中のボタンが取れかけテープで留めて使う羽目に。なんと
もみっともない。アイフォンが販売されてから、何度もデザインが更新され、
その姿を変えてきましたが、毎度の変化で特徴的なところがハードを極限
までにシンプル(軽く薄く美しく)するために無駄な機能をばっさりと切り捨てる
ところ。変化する利用者のニーズが最小限に反映されながらもIPHONEとわか
る無駄のないデザインが維持される。適度に変化を繰り返すために戸惑いな
がらも、わかりやすい機能美にひかれ多くの人がAPPLEのデザインに魅了され
るのですね。

ある機能を満たすために要素をぎりぎりまでデザインがそぎ落とされ
あらわれる美しさが「機能美」。優れたプロダクトや、住宅建築に
ぴったりあてはまる言葉かと思います。

そして似たように使われる言葉に「用の美」があります。作家の柳宗悦という方
が名づけた言葉らしく、伝統品や、日用品の中にある、暮らしの美のことをいう
らしいです。そこにはデザイナーが作る作品のように作家性のはなく、昔から当
たり前に使われてきた日の目を見ないものに注目することによって生まれた思想を
用の美とよんだようです。

わかりやすく言えば渋谷のヒカリエにもある有名なライフスタイルショップでも
扱われる、スタンダードな日用品や、道具などがもつ見た目のデザインだけで
はない使い勝手なども含めた内面の美しさ含んだ「美」のことを言うみたいですね。
私がとても好きな本に写真家の都築恭一さんの「a voice of Africa」
簡単にいうとラジオの写真集です。1990年代の南アフリカのアパルトヘイト
(人種隔離政策)下で厳しく情報規制がされていた有色人種の人々が、唯一の
情報源であるラジオを警察の目からそらすために、偽装をほどこしたラジオが載っています。

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その偽装のデザインにはまったく時代背景からでるの暗さがなく、かわいらしいキリンの
置物や廃材で作ったカラフルなおもちゃの車など、いつ身の自由が奪われるかもわから
ない切迫した状況を軽く笑い飛ばすかのようなセンスのあるデザインがあるのです。
そんな人をからかうかのような「遊びの美」の魅力がこの本にはつまっています。

優れた住宅建築もそうなのですが、背景としての暮らしがあるからその住宅に
美しさを超えた「美」が生まれます。美しさの確固たる理由とその美しさに
至る背景があればあるほど概念の「美」が物に吹き込まれるようです。